前回の「鉄製カボチャ完全武装編」で、標準偏差の約68%を勘違いしたアバくん。自慢の鉄カボチャは重すぎて崩壊し、残ったのはヨレヨレのTシャツと金色のリボンだけ。次に目を付けたのは、なんとヤバくんの上着でした。
今回のテーマは、同じ期待値+3,000円でも、収支の中央値はモデルAで−4,000円、モデルBで+7,000円になるという話。平均値と中央値の違いを、衣装を巡る大騒動と一緒に考えます。
計算の前提: モデルA・Bは説明用の架空の「1回の最終純収支が勝ちか負けの2通りになる」モデルです。現実のパチンコの勝率・収支分布・利益を表すものではありません。複数回の表は、条件が変わらず独立に全回数を完了できると仮定し、資金不足による途中停止を含めません。
1. 鉄カボチャが砕けた! 次の衣装はヤバくんの服!?
鉄製カボチャがガシャーンと崩壊した翌日。アバくんは、破れかけのTシャツに前回の金色リボンを巻きつけ、ヤバくんの前に現れました。
アバくんヤバくん! 昨日の鉄カボチャ、回収業者に持っていかれた!
ヤバくんそりゃ、あれだけ大きな鉄くずなら回収されるだろ。……そのリボン、まだ使ってるのか?
アバくん鎧を失ってもハロウィンは続く! でも着替えがない!
ヤバくん普通の服を着ればいいだろ。今もTシャツを着てるじゃないか。
アバくんこのTシャツ、背中に「期待値+3,000円」って書いたら洗濯で「+3円」になった!
ヤバくん桁が落ちたのはプリントだ。数学じゃない。
アバくんそこで名案だ! ヤバくんの上着を着れば、一瞬で元エリアマネージャー仕様!
ヤバくん俺の上着を勝手に仕様変更するな! 襟を引っ張るな!
アバくんだって前回の最後に「貸さない」って言うから、今日は数式で交渉する!
ヤバくん人の私物を奪うために数学を使うな。
アバくん期待値がプラスなら、服を一枚もらうのもプラスだろ?
ヤバくん全然違う! ちょうどいい。今日は「平均値」と「中央値」の違いを覚えてもらうぞ。
2. 「平均1枚」だから、俺に上着をよこせ!?
アバくんは、ヤバくんの上着の袖を握ったまま「平均」という言葉を持ち出します。しかし平均は、誰かの持ち物を自動で分けるルールではありません。
アバくん俺の替え上着は0枚、ヤバくんは2枚。平均は1枚! だから俺の取り分は1枚!
ヤバくん平均が1枚でも、お前に所有権が発生するわけじゃない。
アバくんなら平均って何のためにあるんだよ!
ヤバくん数を全部足して、人数で割った代表的な値だ。実際の持ち主を決める数字じゃない。
アバくんじゃあ架空の3人が替え上着を0枚、0枚、6枚持っていたら?
ヤバくん合計6枚を3人で割るから、平均は2枚だな。
アバくんよし! 3人とも2枚ずつあるってことだ!
ヤバくん違う。実際は0枚、0枚、6枚。平均の2枚を持っている人は誰もいない。
アバくんじゃあ真ん中の人が持つ枚数は0枚……。
ヤバくんそれが中央値だ。小さい順に並べたときの真ん中を見る。
アバくん平均2枚なのに、中央値0枚! カボチャの中身みたいにスカスカだな。
ヤバくんここからが本題。前回の収支の期待値も平均だけど、中央値とは一致しない場合がある。
3. 同じ期待値+3,000円でも、中央値は−4,000円と+7,000円
これまでのハロウィン連続編と同じ2モデルを使います。Aは「25%で+24,000円、75%で−4,000円」、Bは「60%で+7,000円、40%で−3,000円」。どちらも期待値は+3,000円ですが、結果を小さい順に並べたときの半分の境目は異なります。
| 比較項目 | モデルA | モデルB |
|---|---|---|
| 負けの結果 | −4,000円(75%) | −3,000円(40%) |
| 勝ちの結果 | +24,000円(25%) | +7,000円(60%) |
| 1回の期待値(平均) | +3,000円 | +3,000円 |
| 1回の中央値 | −4,000円 | +7,000円 |
| 中央値に当たる結果の確率 | 75% | 60% |
アバくんモデルAは25%で+24,000円、75%で−4,000円。もう覚えたぞ!
ヤバくんその期待値は0.25×24,000+0.75×(−4,000)=+3,000円。
アバくん期待値がプラス3,000円なら、真ん中の収支もプラスだろ?
ヤバくんそうとは限らない。Aは75%が−4,000円だから、中央値は−4,000円だ。
アバくんええっ! 平均は勝ってるのに、真ん中は負けてる!?
ヤバくん25%の+24,000円という大きな勝ちが、平均を押し上げているんだ。
アバくんモデルBは60%で+7,000円、40%で−3,000円だったな。
ヤバくんBの期待値も0.60×7,000+0.40×(−3,000)=+3,000円。
アバくんじゃあBの中央値は+7,000円! 勝つ結果が半分より多いからか。
ヤバくんそう。今回はBの中央値が+7,000円、Aの中央値が−4,000円になる。
アバくん同じ期待値なのに、中央値の差は11,000円!? 俺の上着代より大きい!
ヤバくんお前の上着の値段は関係ない。でも平均が同じでも、分布の真ん中は違うと分かったな。
4. 中央値は「必ず50%ぴったりで分かれる数字」ではない
中央値は、値が小さい側にも大きい側にも少なくとも50%の確率がある境目として考えられます。今回のように結果が2種類しかない場合、「中央値より小さい確率」と「中央値以下の確率」が、ちょうど50%になるとは限りません。
アバくんでもAは−4,000円の人が75%だろ? 半分の50%と違うぞ!
ヤバくん中央値は必ず「左右50%ぴったり」に割れるという意味じゃない。
アバくんじゃあAの−4,000円は中央値って呼んでいいの?
ヤバくんいい。Aでは−4,000円以下が75%、−4,000円以上が100%。どちらも50%以上だ。
アバくんBの+7,000円なら?
ヤバくん+7,000円以下が100%、+7,000円以上が60%。これも条件を満たす。
アバくんそうか! 半分の境目って、確率が1円ずつ滑らかに並ぶわけじゃないんだな。
ヤバくんそう。今回は−4,000円か+24,000円、あるいは−3,000円か+7,000円の飛び飛びの結果だからな。
アバくんじゃあAの勝ち負けの真ん中、(24,000−4,000)÷2=10,000円は中央値じゃない?
ヤバくん違う。2つの金額を単純に平均しても、75%と25%という確率の偏りを無視している。
アバくん俺、服の両袖の長さを平均して中央値って言い張るところだった。
ヤバくん袖の長さも、勝ち負けの確率も、何を並べて何の真ん中を見るかが先だ。
5. 10回の期待値+3万円。中央値はいくらになる?
1回の中央値を10倍すれば、10回合計収支の中央値になるのでしょうか。答えは、一般にはならない。10回分では「何勝したか」によって合計収支が変わり、その確率分布の真ん中を改めて求める必要があります。
アバくん待った! Aの中央値−4,000円を10回なら、−40,000円が中央値か?
ヤバくんそこが次の落とし穴。1回の中央値を10倍しても、10回合計の中央値には普通ならない。
アバくんじゃあ10回の期待値は+30,000円でも、中央値は別計算?
ヤバくんそう。Aは10回中2勝なら、24,000×2−4,000×8=+16,000円。
アバくん10回中2勝が真ん中になるのか。どうして2勝?
ヤバくん二項分布で数えると、1勝以下が約24.40%、2勝以下が約52.56%。50%を初めて超えるのが2勝だ。
アバくんだからAの10回合計の中央値は+16,000円! 1回の−4,000円とは違う!
ヤバくんBは10回中6勝が中央値の境目だ。
アバくんBなら7,000×6−3,000×4=+30,000円だな!
ヤバくん正解。10回合計の期待値は両方+30,000円でも、中央値はA+16,000円・B+30,000円。
アバくんじゃあ「中央値×回数」で今日の収支を予言するのも間違いだな。
ヤバくんそう。中央値は予言じゃないし、10回の結果を保証する金額でもない。
6. 5・10・30・100回で比べると、差はどう変わる?
同じ架空の2結果モデルを、それぞれ独立に決められた回数だけ完了できたと仮定します。各回数の中央値は、勝ち回数の二項分布の累積確率が50%以上になる最小の勝ち回数を使って計算しました。
| 回数 | Aの累計期待値 | Aの累計中央値 | Bの累計期待値 | Bの累計中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 1回 | +3,000円 | −4,000円 | +3,000円 | +7,000円 |
| 5回 | +15,000円 | +8,000円 | +15,000円 | +15,000円 |
| 10回 | +30,000円 | +16,000円 | +30,000円 | +30,000円 |
| 30回 | +90,000円 | +76,000円 | +90,000円 | +90,000円 |
| 100回 | +300,000円 | +300,000円 | +300,000円 | +300,000円 |
※各回の条件は固定・独立で、途中の資金切れや実戦条件の変化は含みません。中央値と期待値が一致しても、結果がその金額になる保証はありません。
アバくん5回だと、Aの期待値+15,000円に対して中央値+8,000円か!
ヤバくんAは5回中1勝が中央値の境目。Bは5回中3勝で、中央値は+15,000円だ。
アバくん10回はA+16,000円、B+30,000円。まだ差があるんだな。
ヤバくん30回ならAの中央値+76,000円、Bは+90,000円だ。
アバくん100回では、両方とも中央値も期待値も+30万円! ついに同じになった!
ヤバくんただし今回の条件で、100回の中央値がたまたま期待値と一致しただけだ。
アバくん中央値が同じなら、100回の収支の荒さも同じになった?
ヤバくんならない。勝率も各結果の金額も標準偏差も、AとBでは違うままだ。
アバくん前回の標準偏差の話ともつながったぞ。平均も中央値も、分布の全部ではない!
ヤバくんよく気づいた。一つの数字が一致しても、すべての結果の出方が一致するとは限らない。
アバくんじゃあ100回やれば必ず30万円っていう話でもないな。
ヤバくんもちろん。回数を増やすことも、平均や中央値も、利益の保証ではない。
7. 実際の台選びで「中央値だけ」を信じない
今回の比較は、勝ち負けが2通りに固定された数学的モデルです。現実のパチンコでは、出玉の種類、RUSHやLT、回転率、交換条件、投資額、遊技時間、終了条件などで収支の形が変わります。期待値と中央値の両方が分かっても、それだけで実際の勝敗や必要軍資金は判断できません。
アバくんじゃあ「中央値−4,000円の台は打っちゃダメ」って決めつけるのも違う?
ヤバくんそうだ。このAとBは実在する台の収支を再現したものじゃない。
アバくん実際には大当たりもRUSHもLTもあるし、結果が2種類だけでは済まないよな。
ヤバくんそのとおり。台の条件と実際の分布を確かめないと、数字を当てはめられない。
アバくん平均が高い、中央値も高い。それだけで資金切れは防げる?
ヤバくん防げない。必要な投資、途中の残高、終了条件を別に考える必要がある。
アバくん前に計算した標準偏差だって、最大の損失額を教えてくれるわけじゃなかった。
ヤバくんそう。期待値・中央値・標準偏差・勝率は、それぞれ別の角度から結果を見る道具だ。
アバくんじゃあ今日は上着の期待値も中央値も分かったし、そろそろ貸して?
ヤバくん全然分かってない! 数字を理解しても、他人の持ち物を取っていい理由にはならない。
アバくんそれと、生活費まで使って中央値が良くなるまで続けるのもダメだな。
ヤバくんそのとおり。遊技するなら予算と時間の上限を決め、無理をしないことが先だ。
8. 身ぐるみ剥がし作戦、失敗! 最後の頼みは「暴」マーク!?
ここまで勉強したアバくんは、ついにヤバくんの上着から手を離します。……と思いきや、視線はまだ上着のポケットに釘付け。数学の理解と衣装への執念は、どうやら別問題のようです。
アバくんまとめるぞ! AもBも期待値は+3,000円。でも1回の中央値はA−4,000円、B+7,000円!
ヤバくんそう。さらに10回分の中央値は、A+16,000円、B+30,000円だ。
アバくん平均と中央値は同じとは限らないし、中央値を回数倍してもダメ!
ヤバくん正解。これで今日の勉強は終了だ。だから上着から離れろ。
アバくん了解! ……と言いたいところだが、ヤバくん、その上着は俺が着たときの中央値が高そうだ!
ヤバくん上着の似合い具合に中央値なんて付けるな! あっ、袖をつかむな!
アバくん身ぐるみ剥がし作戦、開始ーっ! ……うわっ、袖が抜けない!
ヤバくんだからサイズが違うって! ほら、俺のボタンまで飛びそうだろ!
アバくんくそっ! ヤバくんの服は無傷なのに、俺のTシャツのリボンが外れた!
ヤバくんまず人の服を引っ張るのをやめろ! お前の衣装は自分で用意しろ!
アバくん次回はもう衣装がない……。そうだ! 「暴」って書いたマーク一枚でハロウィンを乗り切る!
ヤバくんそれで乗り切るな! 普通の服を着ろ! それに次回は大きな損失の見方までごまかすなよ!
今回のまとめ: ①同じ期待値+3,000円の架空モデルでも、1回の中央値はA−4,000円、B+7,000円となる。②中央値は「半分の境目」で、必ず50%ずつぴったり分かれるとは限らない。③複数回合計の中央値は、単回の中央値を回数倍したものとは限らない。④平均・中央値・勝率・標準偏差はそれぞれ別の情報で、収益や資金の安全性を保証しない。
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※人物・衣装・会話は創作です。確率と収支は説明用の固定した架空モデルで、実在機種の実測値・予測勝率・将来の利益ではありません。過去の負けを取り戻すための遊技継続を勧める意図はありません。
ハロウィン3部作・完結編:期待値+9万円でも最悪−12万円!?|「暴」マークと下位5%点の違い。ヤバくんの服を借りられなかったアバくんが、全身タイツと「暴」マークで損失リスクも隠そうとして、最悪の収支と下位5%点を学ぶ続編です。
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