台に座ったアバくんが、上を向いて小さくピースしています。ヤバくんには、誰に向けた挨拶なのか分かりません。
アバくん、上空に固定客を見つける
ヤバくん誰に手を振ってるんだ?
アバくんカメラ。前にピースしたら当たったから。
ヤバくん一回の大当りで、ずいぶん濃い関係になったな。
アバくん顔を覚えてもらうのが大事なんだよ。
ヤバくんお前は何のオーディションに来たんだ。
アバくん今日もよろしくお願いします、という気持ちを込めた。
ヤバくん礼儀正しいけど、当たりの予約まで取れたと思うなよ。
アバくんとりあえず、ファンサは済ませた。
ヤバくん向こうがファンになった前提で進めるな。
ピースした後に当たった。その一件が、アバくんの中で「当たるための手順」に昇格しています。
ここから始まるのは、カメラの機能を解説する話ではありません。アバくんが一度の経験から作った儀式に、次々と条件を付け足していく話です。
外れたので、ピースを改良する
アバくん外れた。
ヤバくんピースしたんだろ?
アバくん片手だったからな。次は両手。
ヤバくん根拠はそのままで、指だけ増えた。
アバくんいや、さっきは角度も悪かった。ちゃんと正面に向けないと。
ヤバくん外れた後に、撮影条件が発表されたぞ。
アバくんあと表情。笑顔が足りなかった。
ヤバくん当たりの話だったのに、証明写真の反省会になってる。
最初の説は「ピースしたら当たる」でした。
ところが外れると、「両手で」「正しい角度で」「笑顔で」という条件が増えます。
もちろん、何かを調べる中で条件を見直すこと自体はあります。ただ、結果を見てから、その結果に合う条件を足しただけでは、新しい条件が正しいと確かめたことにはなりません。
アバくんは今、当たる方法を見つけたというより、外れた理由を思い付いています。
当たった日の服まで、儀式に参加する
アバくん思い出した。あの日、青い服だった。
ヤバくん今度は服が呼び出された。
アバくん飲み物も同じにする。座る前の会釈も再現した方がいい。
ヤバくん当たった日の行動を全部セットにする気か。
アバくんどれが効いたか分からないから、全部残す。
ヤバくん分からないものを全部残したら、手順書だけ分厚くなるぞ。
アバくん朝食も合わせる?
ヤバくんピースから始まって、朝の献立まで支配されたな。
当たった時には、ピース以外にもいろいろなことをしています。服を着て、飲み物を持ち、席に座って、台を見ています。
同じ場面にあったからといって、その全部が当たりの原因だったとは分かりません。
それでも一つずつ「外せない手順」にしていくと、次に何か違うことをした時、その違いを外れの理由に使えてしまいます。
再現する行動が増えたことと、当たりとの関係が分かったことは別です。
どんな結果でも、儀式だけは正解になる
| 起きたこと | アバくんの説明 | 説に追加されたもの |
|---|---|---|
| ピースして当たった | やっぱりピースが効いた | ピースは必須 |
| ピースして外れた | 角度が悪かった | 正しい角度も必須 |
| 両手でピースして外れた | 笑顔が足りなかった | 表情も必須 |
| ピースせずに当たった | 前の挨拶が残っていた | 効果の持ち越し |
この表は、アバくんが作った説明を並べた会話上の例です。ピースや表情に当たりを呼ぶ効果があるという説明ではありません。
アバくんピースしなかったのに当たった。
ヤバくんじゃあ、ピースが必要とは言えないな。
アバくん昨日の挨拶が残ってたんだと思う。
ヤバくん急に有効期限が延びた。
アバくん常連だから、多少の挨拶忘れは許してもらえる。
ヤバくんカメラとの契約内容を全部お前が決めてるじゃん。
アバくん当たったら効いた。外れたら手順が違った。これで説明できる。
ヤバくんそれ、どんな結果が出たら「俺の説が違った」と考えるんだ?
当たれば儀式のおかげ。外れればやり方の問題。儀式をしなくても当たれば、前回の効果。
こうして、どんな結果でも同じ説を守れてしまいます。
「説明を付けられる」ことと、「その説明が確かめられている」ことは同じではありません。説を確かめたいなら、どんな結果なら考え直すのかも必要です。
アバくんの儀式には、成功の受付窓口はありますが、間違いを受け付ける窓口がありません。
楽しい挨拶が、面倒な義務になってきた
アバくん今日はもう疲れた。角度、笑顔、服、飲み物。確認項目が多い。
ヤバくん自分で増やしたんだろ。
アバくん会釈を忘れた気がする。やり直した方がいいかな。
ヤバくん台に座るまでの準備が、遊んでる時間に迫ってきたな。
アバくん最初は、ちょっと面白かっただけなんだけど。
ヤバくんそれが「やらないと外れる」に変わってきたんだな。
アバくんじゃあ今日は、普通に座る。
ヤバくんよし。手順書は閉じていいぞ。
軽いゲン担ぎとして楽しむことと、「これを忘れたせいで外れた」と自分を責めることは、分けて考えられます。
アバくんのように手順が増え続けると、いつの間にか楽しみより確認作業が多くなります。忘れた行動を探すために、その日の動きを巻き戻すことにもなります。
当たった日の思い出として残すのはよくても、それを次の大当りの必須条件にする根拠は、今回の話にはありません。
カメラへのファンサ、活動休止
アバくん普通に座ったら、なんか気が楽になった。
ヤバくんそれはよかった。
アバくん当たったら、復帰ライブをする。
ヤバくん何の活動を休止したつもりなんだ。
アバくんカメラ向けのファンサ。
ヤバくん観客がいるかどうかから見直してくれ。
前回の離席編では、アバくんは「自分が立った直後に隣が当たった」という出来事に、自分の功績を足しました。
今回は、一度当たった時の行動を儀式にして、外れるたびに条件を足しています。
どちらも、出来事を自分の説明に合わせていく話です。ただ今回、どんどん増えたのは根拠ではなく、アバくんの準備作業でした。
ピースは二本指。確認項目まで無限に増やさなくて大丈夫です。
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